


自然素材の美しさは、年月を経ても色褪せることがありません。維持管理することでさらに美しくなり、子・孫の時代になって部分的にすり減っても簡易な補修でよみがえります。たとえばムクの羽目板は、純石けんや天然ワックスを水で溶いて掃除すれば、汚れはきれいにとれます。
木は、年々木目を美しくして心からなじんで「自分の家」という実感を与えてくれるものなのです。
子供がつくるキズも全く美しさを損なうものではありません。壁の左官材や床の三層フロアも同様に、いつまでも美しく使えます。自然素材は、薄く削れば元通りになるというように、補修方法が自ら備わっています。
家は機能だけでは語れません。人生の多くの営みが住宅の中で行なわれます。古くなったら張り替えればいい、と考えるのは、そこで過ごす貴重な時間に対して余りにも勿体無いのではないでしょうか。


合板のフロアはラッカーで保護されており、手入れをしないでも数年はきれいです。もちろんワックス等でまめに手入れをすれば、もっと長くきれいに使 えます。しかし、ラッカーにひびが入れば張り替えるより方法がありません。やっかいなのはキズや剥がれがあってもまだ使えるから、住み手の感性をすり減ら しながら、ついついそのまま使い続けてしまいます。
ヨーロッパで主流の3層フロアは表面材が4mm~5mm で、50年単位の使用を見込んでいます。50年たってキズが目立ってきたら薄く削れば又50年使えます。部分的なキズや汚れならハードワックスで簡単にき れいになります。表面だけでなく中身も同じ。「ムク材」の考え方がすべての仕上げ材に必要です。
でも何故、単層無垢フロアではなく三層フロアなのか。木は、反る、痩せる、隙間が空くという欠点も持っています。隙間が空けば、ほこり、カビが溜まる場所になります。
ムクの木の良さを全て残し、木の弱点を最小限にしたのが三層フロアです。幅広、長尺の最高級の床材です。


日本の昔の家の仕上にはしっくいが多く使われていました。吸放湿性があり、劣化がありません。塗り重ねもできます。(下地調整は必要)
これに変わる材料として珪藻土が流行しています。ただし注意が必要です。珪藻土それ自体では固まらないため、「つなぎ」材が必要になりますが、つなぎに何を使うかで性質が変わってしまいます。もし、性悪の接着剤でも入っていたら「何のための珪藻土か」となります。
それで「つなぎ」に石膏をおすすめします。石膏は不燃物で火災時にも有害な煙が出ません(不燃物でも有害な煙が出る物があります)。メーカーの安全データシートでホルムアルデヒドは検出されていません。
石膏珪藻土は吸放湿性が高く木材と同等です。適度な表面のざらつきが光を乱反射させて、部屋に落ち着きが出ます。手触りも良好です。
塗り壁は日本の室内デザインを一変する可能性があります。直線だけで構成された室内に曲線を持ち込むことができます。左官仕上だけができるデザインです。曲線のあるインテリアは和らぎを住む人に与えることでしょう。


木材を「イメージ調査」すると「温かい・自然だ・感じが良い」等の回答が得られます。ヒノキと白い壁を比較した調査で、ヒノキの仕上はストレスが減少し、血圧が低下するという結果もあります。
木造住宅業界で有名なマウスの実験があります。コンクリートの箱で飼うと早く死亡。木の箱では長生きする。この話には落ちがあって、鉄やコンクリートの内側 に木で仕上すれば木の箱と変わりません。つまり仕上で差が出るのです。木造・鉄骨造等は関係なく表面仕上を木にすることに意味があります。
「温かい・自然だ・感じが良い」は、「木の素地」が最も高く評価されています。しかし、床、壁を素地で仕上れば汚れは早い。それに壁を板にするとサウナのようで、これまた「過剰の自然」になります。その点天井は具合が良い。天井の板は目立たないし、汚れません。
ヨーロッパの住宅は天井をパインやスプルースの素板にしていることが多く、飴色の板がゆったりした時間経過を感じさせています。時が物を美しくする。ムクの天井板はその代表です。