

採暖器具では体前面は熱を受けて暖まるが、背面は冷えたままだ

部屋全体を暖めるのが暖房で、室温と無関係に人を直接暖める採暖とは区別されます。こたつや火鉢が採暖の代表です。
隙間風がありながら室温を一定に保つことは無理です。
断熱されない建物では、ムラのある室温しかつくりだせません。不完全な断熱では採暖以外の「暖」はとれません。こたつに腰まで入り、ストーブに向かって体の向きをぐるぐる回すことになります。
多くの人がこたつのよさを強調します。しかし、台所に立ち、トイレに立ちと、人は移動するたびに低温にさらされ、温度ショックによるストレスを受けます。高齢者は温冷感が鈍化するため、気がついた時は冷えきってしまうことになります。
ストーブ等の採暖器具では、体前面と裏側で大きな温度ムラが生じます。このムラのある熱環境は健常者においても大きな負担になります。高齢者や障害者にとっては尚更です。ムラの無い環境にすることで、高齢者の血圧が安定するとの報告もあります。
生老病死は人の定めであり、住宅にこの現実は組み込まれなければなりません。老いて病気となる。ハンディキャップを持つこともある。全ての人が「完全参加する住宅」が求められています。全ての人に快適な熱環境が提供されなければなりません。


良質な暖房は「温かくはない」「寒くもない」。この2つが両立した所にあります。春のような気候を室内につくるのを目標とします。
外から帰った時には温もりがあり、体が慣れれば中立的な温冷感になる。全室に温度ムラがなく、床・壁・天井・窓の表面温度も室温と大差がない。そのため冷輻射による寒さもない。暖房熱源は熱量が小さくなり、コントロールも単純になる。暖房器の置かれるのは寒さの入り口である窓や玄関を主とするようになる。よ り高温を必要とする浴室・脱衣室・病人や障害者の居室はわずかな補助暖房で2~3度加温すれば足りる。
良質な暖房は設備だけでは実現できません。断熱を中途半端に、設備を強力にすればあらゆる所に温度ムラが生じます。床は冷たく、窓は結露し、頭はほてり、脚部は冷えます。
暖房設備の前に高度な断熱をし気密化しなければ、温度ムラのない爽やかな室温はつくりだせません。
高断熱の本当の良さは暖房費の節約ではありません。暖房費の少ない住宅は上下空間温度差が少なくなり、居住性が向上します。ここに高断熱の本当の価値があります。

金属コーティングガラスにより、室内に入る日射熱の50%ほどをカットする。
さらに、アルゴンガスが入ったものは60%をカット。

日除と窓
高断熱住宅は一度熱くなるとなかなか冷めません。昼間に日射を入れるとそのまま夜まで熱さが残ります。
「高断熱住宅は断熱によって壁・天井等の周囲の温度上昇を防ぐので、輻射による熱さはほとんどない。」こんな説明も日射を部屋に入れてしまえば、何の意味ももたなくなります。
「南側は庇が効果がある。落葉樹もよい。」この説明も現実味の無いことが多いです。敷地の関係でままならないのです。建物の方位が東西に振れると夏の朝や夕方の日射が直接入ります。樹木の葉は樋を詰まらせるので、軒先に接しては植えられません。
ではどうすればよいのか。この問題を解決するのは優れた窓とガラスです。
ガラスによる日除効果アルゴンガス入遮熱型Low-eペアガラスと呼ばれるものがあります。ペアガラスの外ガラスの内側に金属コーティングがしてあり、中間の空気層にアルゴンガスを封入したもので、遮熱効果は60%にもなります。
4面全ての窓に遮熱タイプのガラスを使うべきです。家は真南に向いていないことが多いので、夏は北側からも日射が入ると考えられるからです。遮熱タイプのガラスは庇や落葉樹で日除できない場合は特に効果があります。
断熱性も高いので、冬にも効果を発揮します。


『窓を開けておく。数cmで良い。』
これが夏を快適に過ごせる方法です。
防犯上安全に窓を開けたまま外出できれば、室温の上昇の大半は解決します。
内側には厚手のカーテンまたはブラインドを引き、日除にします。カーテン・ブラインドと窓との間の熱い空気を換気すれば、六~七割は遮熱できるようです。(外ブラインドのデータよりの推測)また、夜間に外気を取り入れ、室温を下げます。
防犯上必要な窓には外付面格子をつけますが、外開き窓はこれができません。
ヨーロッパで使われるドレーキップウインドウなら防犯上の安全性は高いです。ペアガラスを割るか、窓を壊さない限り侵入するのは難しい構造になっています。つまり閉じた状態と大差無い防犯性があるのです。
ドレーキップウインドウは内側に開くので、外側に板戸をつけることができます。日除は完全になり、防犯性も増します。

余得熱で室温は12度上昇する

高断熱住宅の暖房の主役は余得熱です。照明・冷蔵庫・人体発熱・調理・テレビ・日照等、これらの余得熱で12度前後室温が上昇します。(自然温度差と呼びます)
暖房期間短縮外気温8度なら自然温度差12度で室温は20度になり、暖房不要になります。
仙台の暖房日数は263日(日平均外気温18度未満の日数)ですが、日平均外気温8度未満の日数は140日であり、Q値1W/平方メートルK前後の高断熱住宅では123日暖房期間が短縮されます。(Q値によって日数は異なります)
暖房必要熱量減少高断熱化により熱損失が少なくなることは直感で理解できます。しかし、余得熱によって暖房必要熱量が大幅に減少することは見落としがちです。
Q 値が2W/平方メートルKの建物と1W/平方メートルKの建物(120平方メートル、4人家族、内外月平均温度差20度)を比較すると、暖房必要熱量は約 80%減。5分の1に近い暖房熱量になります。高断熱のうまみがここに隠れています。暖房設備は小さなものになります。ランニングコストも大幅(この場合 は72%減)に減少します。

建物の断熱性能を表す数値『Q値』(熱損失係数)
断熱材の厚さや窓の大きさだけでなく、建物の形によっても値は変わります。建物の床面積に対し、外部に接する面積(外壁や屋根)が大きいほど熱は逃げやすいためです。従って数値で比較する場合は同じ建物で比較する必要があります。
北洲ハウジングのQ値は、計算に不利といわれている省エネ評定審査用のプランでも1.2W/平方メートルK。次世代省エネ基準はもちろん、世界の住宅先進国と肩を並べる性能です。
建物の気密性能を表す数値『C値』(相当隙間面積)資格をもった技術者が専門の機材を使って実測する値です。ですから、気密化のための仕様や工法だけでなく、現場での施工レベルを問われる数値です。
北洲ハウジングでは全施工住宅のC値を実測しています。その平均値が0.65平方センチメートル/平方メートルです。次世代省エネ基準のⅠ地域(最も厳しい北海道基準)の2.0と比べて半分以下の優れた性能です。