北洲ハウジング60周年記念

よい家とは?

北洲の高性能で美しい家づくり。その根底に流れる考えやこだわりをご紹介いたします。建ててから、10年、50年かけて、育っていくもの。だからこそ、素材や細部のデザインに至るまで、こだわってつくりたいものです。

住むほどに良さが増す

家は自動車のように3年から5年で買い替える事はできません。一番考えなければならないのは、これから建てようとしているあなたの住宅が、10年後、20年後、30年後に、どのような姿になっているかです。

北洲ハウジングの家は上質の家具のように、時を経るごとに趣を増していきます。理由はデザインだけではありません。工法や資材、ディティールにあります。多雨の日本では深い軒が要ります。軒先のディティールも重要です。屋根の形も雨で決まります。当然シンプルになります。コーキング材や水切りも重要です。コーキングは短期間に劣化するので、コーキングだけに頼る工法ではいけません。また水切りが不完全だと数年で汚れます。

工法は耐久性を高く、建築基準法は最低基準だということを念頭におき、基礎・躯体・防湿・断熱・換気の全てにおいて、数段上の仕様にします。外壁は劣化しない、または簡単メンテナンスの資材にします。屋根はより一層、耐久性のある資材を選びます。年月がみすぼらしさにつながらず、流行遅れにならない家は、このような技術の積み重ねが可能にします。

自然素材への回帰

日本の家、いえ、世界の家は100年程前まで自然素材でできていました。地域の素材で安くつくる。これが一般的な家づくりでした。縄文の時代から数千年の時間をかけて工夫を重ね、美しく快適に、しかも費用をおさえるために、身近な自然材料を利用してきたのです。

ところが、戦後の高度成長社会は、手早く家を建てるための大量生産の建材を生み出し、住宅は産業として発達しました。アルミサッシ、プリント合板、ビニールクロスの住宅が当たり前になり、良質な床板、地域の左官職人、建具職人による家づくりは庶民のものではなくなりました。

大量生産建材の悲劇は、自然素材の代替品として開発されたことでしょう。木目をプリントした合板、塗り壁や布の模様のビニールクロス、ブロンズ色のアルミサッシも木の建具を意識しているようです。新素材を新たな美としてデザインしなかったのです。

ここにきて自然素材への回帰が大きな流れとなっています。シックハウス問題が大きな要因でしょうが、それだけではないと感じます。使い込むほど良くなる自然材料の美しさ、心地よさが、住まいに求められています。祖先が数千年かけて作り上げた美意識を、私たちは忘れてはいないのです。

タイルの外壁

外壁は、家の耐久性と美しさを決める最も重要な部分です。この点でタイルは最高の外壁材といえます。

タイルは土を焼いてつくられる焼き物で、年月の経過とともに風合いを増す自然の素材です。雨や紫外線に強く、塗り替えや貼り替えの必要性はほとんどありません。30年先のメンテナンスまで考えれば、塗装仕上げのサイディングより割安です。

北洲ハウジングは外壁タイルの先駆けとして、メーカーと共同開発し、美しいオリジナルタイルをつくっています。

スクラッチタイルは表面に引っ掻き模様をつけたタイルのこと。特注品のオリジナルホワイトは、この溝を深くかつ溝同士の幅を不規則にすることで、より豊かな陰影をつくっています。焼き上げの色も試作を繰り返し吟味しました。フラットタイルとの組み合わせがシャープな外観をつくります。

テッセラとは割り肌タイルのことで、相当な厚みがあります。これをランダムにフラットタイルと組み合わせて張り上げるのがテッセラミックス。木材を使った素朴なトリムやハーフティンバーとの相性がよく、建物に個性的な質感と陰影を与えます。

耐久性に優れた塗り壁

ヨーロッパの住宅は遠目には吹付塗装のように見えますが、微妙に違います。近づいて見ればはっきり違います。仕上に厚みがあるのです。触れてみると3~4mmはあるだろうと感触でわかります。

この技術は20数年前に日本でも実用化されました。近年になって多数のメーカーが類似品を出し、欧米からの輸入品も出まわるようになって、高止まりしていた材料価格がかなり下がりました。高級建築でしか使えなかった材料が一般住宅で使える価格になったのです。

塗り壁ですが、一定の弾力があるため割れにくく、無機顔料を主としているので退色も少ない塗材です。ホコリはつきますが洗うことができ、それで大部分は落ちます。汚れが安っぽさに直結せず、時代を経るごとに落ちつきを増していきます。0.1mmの吹き付け塗料と3~4mm厚みのある仕上の差は、完成した日から既に違いますが、時間がたてばその差が一層はっきりします。

塗り壁は左官職人が現場作業をする仕上です。外壁全体が継ぎ目のない一枚に仕上がり、土壁の感触・質感があります。左官職人の手仕事の「ムラ」が「飽きのこない仕上」につながります。

屋根は瓦

屋根は、建築予算を優先的に配分すべき部位です。耐久性の高い材料を使ったかどうかで、10年後の建物の傷みぐあいに大きく差がでます。

陶器瓦の耐用年数は200年から300年。材料自体のメンテナンスはほとんど不要です。同じ焼き物であるタイル同様、年月を経て尚美しい自然素材。防音性に優れ、雨音が気になることはないし、野地との間の空気層により日射に対し断熱の効果を発揮します。

宮城県北部地震において瓦の被害が目立って伝えられましたが、現在は釘打ちによる固定であり、防災瓦として互いに重なり合う形状も工夫されています。被災地の北洲ハウジングの陶器瓦に被害はありませんでした。総合的な性能として、瓦は最良の屋根材といえます。

木製窓

窓は建築の表情の決めてです。窓の配置に工夫が無ければ、外観はつまらないものになります。また部品としての窓に「品格」がなければ落ち着きある格調は生まれ難いでしょう。

日本では住宅の外観と窓は同一平面に取付けられます。立体的な変化は生じません。当然陰影もありませんから、外壁はのっぺりした印象になります。取付けが簡単だからこの方法が日本の主流です。その結果、日本の住宅の外観はメリハリを失うことになりました。

ヨーロッパの住宅の美しさは窓まわりへの気遣いの結果でしょう。

壁厚が大きく窓は引込んでそこに影ができます。窓は強調され視線が集中します。だから窓辺に花を飾り、カーテンを吟味します。結果、建築部品としての「窓」もデザインが洗練されてゆくのでしょう。ヨーロッパ、特にドイツ圏の「窓」は美しいものが多いです。

内開き内倒しのドレーキップウインドウは、防犯、換気、清掃、交換等、機能を追求したドイツ窓の大きな成果です。内倒しで開けば換気モードでありながら泥棒 も簡単には入れません。内開きで室内側から安全にガラス拭きができます。窓の外は花で飾られ、水やりも楽にできます。何十年後かに窓交換する場合も内外壁 を傷めません。

シンプルな形

ドイツ、スイス、オーストリア、そして北のスカンジナビア諸国の住宅を特徴づけているものに外観のシンプルさがあります。大屋根のゆったりとした美しい姿。つくりやすくメンテナンスが楽なシンプルな形です。

日本のような四季のメリハリのある地域では風土に合わせた形をつくるのは難しいことです。夏を旨としてつくれば、風を入れるため平面形は複雑な形になります。雨雪を考慮すれば、単純な屋根が望ましい、となります。冬は日を入れたい、夏は遮りたい。収拾がつきません。そこでこれらをまとめる方法を探ると次のようになります。

間取りは夏向きに少々複雑にします。凹凸をつくって風の道をつくります。屋根は単純な形にします。平面の凹凸に関係なく、大きく全体に架けるのです。屋根はあるが外である部分が「戸外室」になり、屋根の下に複雑な陰影ができます。形はシンプルで印象が明快になります。

日本の民家はこの形が多くみられました。縁側を持った民家がその代表です。ヨーロッパではその形が今でも生きています。戸外室がウインターガーデンやデッキ、玄関ポーチとして使われています。

実はこの方法でも夏の日除が解決しないことが多くあります。しかし凹凸のある平面形は主たる部屋を二面採光にできます。直射日光のある側の窓を遮光しても、片側の窓で部屋は明るい。そんな間取りの配慮が可能です。

自然素材の美しさ

自然素材の美しさは、年月を経ても色褪せることがありません。維持管理することでさらに美しくなり、子・孫の時代になって部分的にすり減っても簡易な補修でよみがえります。たとえばムクの羽目板は、純石けんや天然ワックスを水で溶いて掃除すれば、汚れはきれいにとれます。

木は、年々木目を美しくして心からなじんで「自分の家」という実感を与えてくれるものなのです。

子供がつくるキズも全く美しさを損なうものではありません。壁の左官材や床の三層フロアも同様に、いつまでも美しく使えます。自然素材は、薄く削れば元通りになるというように、補修方法が自ら備わっています。

家は機能だけでは語れません。人生の多くの営みが住宅の中で行なわれます。古くなったら張り替えればいい、と考えるのは、そこで過ごす貴重な時間に対して余りにも勿体無いのではないでしょうか。

ヨーロッパの主流は三層フロア

合板のフロアはラッカーで保護されており、手入れをしないでも数年はきれいです。もちろんワックス等でまめに手入れをすれば、もっと長くきれいに使えます。しかし、ラッカーにひびが入れば張り替えるより方法がありません。やっかいなのはキズや剥がれがあってもまだ使えるから、住み手の感性をすり減らしながら、ついついそのまま使い続けてしまいます。

ヨーロッパで主流の3層フロアは表面材が4mm~5mmで、50年単位の使用を見込んでいます。50年たってキズが目立ってきたら薄く削れば又50年使えます。部分的なキズや汚れならハードワックスで簡単にき れいになります。表面だけでなく中身も同じ。「ムク材」の考え方がすべての仕上げ材に必要です。

でも何故、単層無垢フロアではなく三層フロアなのか。木は、反る、痩せる、隙間が空くという欠点も持っています。隙間が空けば、ほこり、カビが溜まる場所になります。

ムクの木の良さを全て残し、木の弱点を最小限にしたのが三層フロアです。幅広、長尺の最高級の床材です。

左官による室内仕上

日本の昔の家の仕上にはしっくいが多く使われていました。吸放湿性があり、劣化がありません。塗り重ねもできます。(下地調整は必要)

これに変わる材料として珪藻土が流行しています。ただし注意が必要です。珪藻土それ自体では固まらないため、「つなぎ」材が必要になりますが、つなぎに何を使うかで性質が変わってしまいます。もし、性悪の接着剤でも入っていたら「何のための珪藻土か」となります。

それで「つなぎ」に石膏をおすすめします。石膏は不燃物で火災時にも有害な煙が出ません(不燃物でも有害な煙が出る物があります)。メーカーの安全データシートでホルムアルデヒドは検出されていません。

石膏珪藻土は吸放湿性が高く木材と同等です。適度な表面のざらつきが光を乱反射させて、部屋に落ち着きが出ます。手触りも良好です。

塗り壁は日本の室内デザインを一変する可能性があります。直線だけで構成された室内に曲線を持ち込むことができます。左官仕上だけができるデザインです。曲線のあるインテリアは和らぎを住む人に与えることでしょう。

板の天井

木材を「イメージ調査」すると「温かい・自然だ・感じが良い」等の回答が得られます。ヒノキと白い壁を比較した調査で、ヒノキの仕上はストレスが減少し、血圧が低下するという結果もあります。

木造住宅業界で有名なマウスの実験があります。コンクリートの箱で飼うと早く死亡。木の箱では長生きする。この話には落ちがあって、鉄やコンクリートの内側に木で仕上すれば木の箱と変わりません。つまり仕上で差が出るのです。木造・鉄骨造等は関係なく表面仕上を木にすることに意味があります。

「温かい・自然だ・感じが良い」は、「木の素地」が最も高く評価されています。しかし、床、壁を素地で仕上れば汚れは早い。それに壁を板にするとサウナのようで、これまた「過剰の自然」になります。その点天井は具合が良い。天井の板は目立たないし、汚れません。

ヨーロッパの住宅は天井をパインやスプルースの素板にしていることが多く、飴色の板がゆったりした時間経過を感じさせています。時が物を美しくする。ムクの天井板はその代表です。