北洲ハウジング60周年記念

戸建て住宅の良さ

日本の住まいは自然環境と調和しながら発達してきました。部屋から眺める庭の景色、半屋外空間である縁側や土庇。日本人にとって庭との親密な関係は、心豊かに暮らすためになくてはならないものです。

庭の設計

戸建住宅の良さは庭との親密な関係にあります。「建築設計」とは敷地全体を設計することです。住宅の間取りとは「庭を含めての間取り」なのです。建ぺい率は四割~六割が住宅では一般的です。敷地の約半分は外部空間であり、戸建住宅の良さはここで決まります。

外部空間は四つに大別できます。

  1. プライバシーのある庭
  2. 駐車のスペース
  3. 玄関前庭
  4. 裏庭

建物とこの四つが溶け合わなければ戸建住宅は中途半端になります。共同住宅の一室と戸建住宅では庭の有無がそれを分けるのではありません。外部空間と建物が融合し一体になるかどうかでその差が明らかにされます。建物を配置し、残った所が上記四つの外部空間では戸建住宅の設計とはいえません。

例えば、横長の土地に横長の建物をつくれば簡単で自然のようですが、庭は廊下のようになり、空間としてのふくらみのない、つまらないものになってしまいます。単純な四角の建物は工費や性能では利点も多いのですが、庭との関係は単調になりがちです。わずかな凹凸によって庭も建物もメリハリがでて、生き生きとすることがあります。

変化と独自性

人は誰でも自分の家が個性的でありたいと望んでいます。集合住宅ではこれを望んでも無理です。

一戸建てなら好きなようにつくれそうなものですが、住宅メーカーや在来木造の工務店は同一のものを繰り返しつくり、わずかの違いがあっても個性と呼べるものではありません。

逆に自分の趣味だけを主張した家は、自分以外の誰もが不快な、浅薄なものです。

個性的で望ましい住まいは、古びた家に散見できます。家並みや景色に馴染んでいて、庭や外柵が美しく手入れされています。増築や改築のあとが見えて、これが建主の個性を感じさせます。

新築は完成ではありません。これからが本番。子供は成長し大人は年をとります。人も家族も変化するのだから、家も変化するのが自然です。そこから独自性が生まれてきます。戸建て住宅の醍醐味です。

気楽な増改築

『人が自宅で居心地よく感じるのは、自分に合わせて改造でき、必要なものは何でも追加でき、好みに合わせて庭をやり直せる場合のみである。』(パタンランゲージ C・アレクザンダー他著より)増改築は自分や家族の成長とともにある楽しい営みです。

すこぶる気楽に、自分でもできる改造がウインターガーデンです。ヨーロッパにおけるウインターガーデンは自然発生的に生まれたように思えます。

例えば、初めにデッキをつくる。いつの日か屋根をかける。風除けのためにガラスを入れ建具をつける。思いつきと予算に合わせて気楽につくれます。

バルコニーや、深い庇(ポーチやテラス)の下の空間をガラスと建具で囲む、という方法もあります。

ウインターガーデンは外の付け足しです。本体ほど吟味する必要はありません。気楽につくる。そこに妙味があります。泥靴で入れる。釘も自由に打つ。犬もたまにはオシッコをかける。虫も入る。室内とは違う気楽さがその本領です。

350年のAGED HOUSE

日本の住宅が30年で取り壊されてしまうのに対し、ヨーロッパの住宅の建て替えサイクルが100年を超えていることは、よく知られるようになりました。

質の高い住宅を建て、長く大切に使う。そこに楽しみと豊かさを見出す。その実例をひとつ、ご紹介します。

私たちがスウェーデンで訪れたベッチェルさんのお宅は、何と築350年。350年前と言えば、日本では徳川三代将軍家光の時代。この家は日光東照宮と同じ建築年代です。

一般住宅といえども、基本構造がしっかりしているから、窓やドア、内外装に手を入れれば、今でもこんなにきれいに住めるのです。

良い家を建てましょう。そして永く永く住みましょう。

左の壁は新築の時のまま。実に350年前のもの

窓辺やドア廻りに緑があるといいですね

半地下の食品庫
天井が石造りのアーチになっている(左)
木製窓から差し込む光が美しい寝室(右)

玄関ポーチ これがスウェーデンの伝統的色づかい(左)
お庭のアクセントになっている池 日本庭園とはまた違った趣き(右)

建築化外構(庭を囲む暮らし)

建築化照明(美しいあかりのある暮らし)