第六回 住宅のサウナ

最終更新日:2020年10月26日

北欧フィンランド、ヘルシンキで暮らしている大村裕子です。
第六回目はフィンランドの住宅に欠かせないサウナを紹介します。

大村裕子

大村おおむら 裕子ゆうこ

Auer& Sandås architects
PROFILE ▼

2013年よりフィンランド、ヘルシンキ在住。一級建築士。1996年北海道大学工学部建築工学科卒業(建築環境学講座)。北欧輸入住宅会社にて16年設計に携わる。主に北海道、千葉、東京にて202邸の注文住宅、別荘、店舗等を設計。

その後スウェーデン、フィンランドの設計事務所にて住宅を設計。フィンランドの北欧建築視察専門の旅行会社を経て、現在はフィンランドの設計事務所 Auer& Sandås architects に在籍。

住宅に欠かせないサウナ

実はサウナはフィンランド語。日本で一番知られているフィンランド語でしょう。サウナはフィンランド人にとって欠かせないもので、家にサウナがあるのはごく普通のことです。
マンションなどでは、サウナが各家庭にない場合もありますが、その場合は住民が使える共同サウナがあることが多いです。サウナは夏も使いますが、冬は特にサウナが恋しくなります。サウナは日本人にとっての浴槽に近い存在なのかなと感じます。といっても、毎日入るわけではないようです。

 

そしてフィンランドでは浴槽はあまり見ません。サウナの隣の部屋にはシャワー、トイレ、洗濯機スペースが一体になっているのが一般的です。そしてサウナで温まったあと涼むために、バルコニーやテラスに繋がっていることもあります。

 

階段のようになっていて、一番上が一番熱くなります。普段は一番上に座りますが、ぬるい方がいいときは一段下に座ります。一番上は寝転がれるように広めになっていることもあります。窓があることが多いです。

 

写真の右にあるのが、住宅でよく見るスタンダードタイプのキウアス(サウナストーブ)です。

 

 

 

 

ロウリュをかけるのがポイント

私にとって初めてのフィンランドサウナは、約7年前にフィンランドに住み始めたときのホームステイ先でのことです。一戸建ての住宅で、2-3人が入れるくらいの大きさのサウナがありました。ホームステイ先は50代の夫婦と20代の子供の3人家族で、週2回くらいサウナの日がありました。浴槽はなく、普段はシャワーのみでした。

 

日本でプールや温泉施設などでサウナに入ったことはありましたが、実はあまり好きではなかったのです。熱くて乾燥しているし・・・でもフィンランドでサウナに入ってすっかり気に入ってしまいました。フィンランドサウナでは、ひしゃくでフィンランド語でキウアスと呼ばれるサウナストーブに水をかけて水蒸気を出します。キウアスは住宅ではほとんどの場合、電気式です。この水蒸気がとても気持ちが良いのです。温度も80度くらいで、熱すぎません。この水がなかったら、私もまだサウナファンではなかったと思います。 この水のことをフィンランド語でロウリュと言います。

 

この写真のサウナは1.6m四方くらいで、住宅では最小のサイズです。桶に水を入れて、ひしゃくでロウリュをかけます。

 

 

共同サウナ

マンションの共同サウナでは、毎週土曜の夜9時から10時までというように、週1回決まった日に予約するシステムがあるのが一般的です。その時間は家族で使えるという仕組みです。高級マンションでは、最上階に共同サウナがあって、景色を楽しめるようになっていることもあります。

 

 

私のサウナの楽しみ方

現在私のマンションには、サウナも浴槽もありません。以前共同サウナがあったようなのですが、私が引っ越したときにはありませんでした。冬になると特にサウナに入るためにプールに行きたくなります。公共プールの場合、80度と90度などサウナの温度が分かれていて選べるようになっていることもあります。私はたいてい低めサウナで長めに入るのが好きです。また友人の共同サウナに行くこともあります。

 

私の場合は、サウナに入って10分くらいして熱くなってきたら、一度出て涼みます。そして、またもう一度サウナへ入って温まったら出ます。ここでもう1回サウナに入ろうかと思いますが、ここでやめておきます。のぼせてしまいそうなので。このサウナを出たり入ったりを繰り返すと、サウナを出た後もぽかぽかとした感じが続く気がします。プールの場合はサウナに入って、泳いで、またサウナに入ります。気分によってはもう一度泳いでサウナに入ります。サウナからプールに戻る瞬間は、ヒヤッとするのですが、これがリフレッシュできます。はじめは水風呂に入るようで気が進まなかったのですが、今でははまっています。サウナはこの熱さと涼しさを繰り返すのがポイント。リラックスして肩こりも解消されます。

 

もし家に浴槽とサウナをどちらか1つを選ぶかといわれると、やはり日本人としては浴槽が欲しいと思います。特に冬は。でも両方あれば最高ですね。

 

こちらは広めで高級仕様のサウナ。ガラス張りになっていてキウアスもスタイリッシュです。

 

 

インタビュー 住宅とサウナ

フィンランドの建築家、クラウディア・アウエル(Auer& Sandås architects 代表) に住宅とサウナについて話を聞きました。
男の子1人、女の子2人を持つお母さんです。

 

―家にサウナはありますか?

 

アウエル 私の家にはサウナがありませんが、共同サウナがあります。毎週金曜日の夜に予約があり、リフレッシュして週末を迎えることができます。子供のころは家にサウナがありました。

 

 

―日本ではサウナはジムや温泉施設にはありますが、住宅にはまずありません。どんなライフスタイルか教えて下さい。サウナはどんな効果がありますか? 
サウナの中ではどうすごしますか?

 

アウエル フィンランドは寒い国なので、サウナはとても重宝されてきました。昔はサウナが家の中で暖かく、衛生的で、お湯のある場所だったので、サウナで子供を出産していました。私の祖母の家にはシャワーはなく、サウナがあったのを覚えています。

 

サウナは体を清めるセレモニー、儀式とも言えます。日本の茶道のような感じでしょうか。私の場合、まずサウナに軽く温まり、次に泳ぐか涼みます。次は長めにじっくりとサウナに入ります。次に体を洗って、短めにサウナに入ります。そして最後にシャワーを浴びます。シャワーに比べて、サウナでは汗をかくので健康によく、体の内側からより深くきれいになる気がします。

 

サウナはメディテーションの場でもあります。サウナは大声で話したり騒いだりするのはふさわしくなく、気持ちが落ち着く場所です。照明もあまり明るくないですし。

 

また社交の場でもあります。フィンランド人にとって男性同士、女性同士でサウナに行き、裸になるのはごく普通のことです。サウナでは男同士、女同士の話をしたり、秘密の会話をしたりします。家族でもそうですね。サウナは大事な話や個人的な話ができる場所なのです。

 

昔は政治家がサウナで機密の話をしたそうです。昔は政治家は男性ばかりだったので。今は女性が多くいるので、しないでしょうけど。

 

 

 

―子供と一緒に入りますか?それとも子供も一人で入りますか?

 

アウエル 家族なら男女関係なくみんなで一緒に入るのが普通です。小さいころから慣れているので。子供たちはティーンエージャーですけれど、みんなで入ります。

 

 

―毎日入りますか?それとも週何回入りますか?

 

アウエル 共同サウナなので週1回なのですが、もし家にあれば週2回は入ると思います。

 

 

―季節によってサウナの入り方は違いますか?

 

アウエル 特に違いはありません。フィンランドの夏は寒いこともあるので。冷夏でもサウナがあれば、泳ぐことができます。

 

 

-サウナは本当にフィンランド人にとって、昔も今も大事な文化なのですね。

 

アウエル はい。サウナでは、ロウリュという特別な言葉があります。ロウリュとは、キウアスと呼ばれるサウナを暖めるストーブにかける水のことですが、その水蒸気のことも指します。
フィンランド人は「よいロウリュでしたか?」「ロウリュを楽しんで!」などと言います。ロウリュはサウナの精神を表しているのです。