第七回 長い夜、極夜(きょくや)の過ごし方

最終更新日:2020年12月03日

北欧フィンランド、ヘルシンキで暮らしている大村裕子です。
第七回目はフィンランドの極夜の過ごし方を紹介します。

大村裕子

大村おおむら 裕子ゆうこ

Auer& Sandås architects
PROFILE ▼

2013年よりフィンランド、ヘルシンキ在住。一級建築士。1996年北海道大学工学部建築工学科卒業(建築環境学講座)。北欧輸入住宅会社にて16年設計に携わる。主に北海道、千葉、東京にて202邸の注文住宅、別荘、店舗等を設計。

その後スウェーデン、フィンランドの設計事務所にて住宅を設計。フィンランドの北欧建築視察専門の旅行会社を経て、現在はフィンランドの設計事務所 Auer& Sandås architects に在籍。

極夜、太陽が昇らない日

フィンランドでは極夜(きょくや)があります。白夜は太陽が沈まない日ですが、その反対で極夜は太陽が昇らない日のことです。フィンランド語でカーモス(kaamos)といいます。フィンランドの北部、北極圏では極夜があります。南にあるヘルシンキでは完全な極夜にはなりませんが、日照時間がとても短くなります。

 

一年で一番日の短くなる冬至頃、ヘルシンキの日の出は9時半で15時過ぎには日が沈んでしまいます。そして夏に比べて圧倒的に曇りの日が多いのです。
太陽の有難みを感じる季節です。
日照時間がどんどん短くなるヘルシンキでは、どのような生活をしているのか、どんな工夫が必要なのか見てみましょう。

 

ビタミンDのタブレット

日光に当たることで体内で生成されるビタミンDですが、日照時間が短くなるので、多くの人がビタミンDの錠剤を飲んでいます。薬局に行くとずらっとビタミンDが並んでいます。私も冬が始まると毎日飲むようにしています。今飲んでいるのは、友達に美味しいとお勧めしてもらったものです。

 

 

 

ランプ

日照時間を補うためのランプというのもあります。私はまだ使ったことがないのですが、気になっています。そんなに効果があるのかわからないなと思うのと、今まで見たのはいかにも蛍光灯といった機能的なデザインで、あまり家に置きたいと思いませんでした。

 

こちらは友人の家にあったランプで、デザインが気に入りました。ハンドルは木でできていて、調光できるようになっています。太陽の光を補う明るい機能的なランプとしても、くつろいだ雰囲気を楽しむランプとしても使えます。

 

 

 

 

反射板リフレクター

冬になると反射板をコートやバッグに付けます。ほとんどの人がつけているといっても言い過ぎではないくらいです。
車のヘッドライトで反射するので、暗い時でも人がここにいるとアピールできます。自分の身を守る大切なアイテムです。デザインも豊富で、かわいいものやおしゃれなものも多いです。

 

コートに2つ、カバンに1つと複数つけている人もいます。ぬいぐるみのグレーの部分が光ります。

 

 

ピックヨウルのシーズン

フィンランドではピックヨウルというパーティーがあります。フィンランド語でピックは小さい、ヨウルはクリスマスの意味です。

これは会社の同僚、習い事のグループ、友達、子供同士などで祝うクリスマス会のことです。ちょっとした食べ物を持ち寄ったり、各自が小さなプレゼントを用意してプレゼント交換をしたりします。クリスマス会と言っても、たいてい12月ではなく11月にやることが多いです。12月は家族祝うクリスマスの準備で忙しいからかもしれません。日本でいうところの忘年会に近いと思います。11月はあちこちでピックヨウルが行われています。フィンランドは会社での飲み会というのがあまりないのですが、1年に一度ピックヨウルはやるとよく聞きます。

 

 

毛糸の靴下

フィンランドでは日本と同様、室内では靴を脱ぎます。フィンランドらしいのが、毛糸の靴下。普通の靴下の上にさらにもう一枚重ねて使います。フィンランドの家は基本的には断熱がしっかりとしていて、セントラルヒーティングがあるので暖かいです。今の私の住んでいる家は暖かいのであまり必要ないですが、寒いと感じる日には履いています。
私は友達のお母さんが手編みしてくれた毛糸の靴下がお気に入りです。冬ならではのホッとするアイテムです。

 

以前いたオフィスで、室内履きとして毛糸の靴下をプレゼントされたことがあります。はじめはびっくりしたのですが、くつろげる感じがしてとても良かったです。

 

 

 

インタビュー 極夜、カーモスの過ごし方

フィンランドの建築家、クラウディア・アウエル(Auer& Sandås architects 代表) に話を聞きました。
男の子1人、女の子2人を持つお母さんです。

 

― 日照時間が短くなってきましたが、どのように過ごしていますか?

 

アウエル 冬はビタミンDを毎日取っています。フィンランドはカーモスの時期、日の光が不足します。5月から7月の日照時間がとても長い時は必要ないのですが。

 

日の光を補うランプも使っています。朝起きたら家中の照明をつけます。そしてこのランプの光を浴びながら朝食をとります。
モーニングコーヒーと同じく、朝に欠かせないのです。

 

カーモスの時期は1年で一番長く働いていると思います。時間感覚がなくなって、16時なのか20時なのか気づかないのです。
夏は夜でも明るいので外に出かけたくなりますが、冬は暗いので照明の明るいオフィスの中にいるのが快適というのもあります。

 

夜の自由な時間は、家で居心地のよい、静かな夜を楽しみます。毛糸の靴下をはいて紅茶を楽しだり、キャンドルを灯したり、暖炉を楽しんだり・・・。
家はいつも暖かいです。ヘルシンキ地域は集中暖房が完備されています。

 

― 他に何か心がけていることはありますか?

 

アウエル 私にとっては、この時期はアクティブであることが大事ですね。散歩することも大事です。できるだけランチは外に出て、光を浴びて新鮮な空気を吸うようにしています。
もし何もすることがなかったら、すぐ疲れてしまいます。

 

フィンランドではカーモスマセンヌス(kaamosmasennus)、「カーモスうつ」という言葉があります。これは日光不足から起こります。
だからランプを使うのです。

 

フェスティバルやピックヨウルというクリスマス会も多くあります。学校や保育園も行事はこの時期が多いです。年末やクリスマスのイベントなどをやります。
また光に関係のあるイベントも多いです。聖ルシア祭では、毎年ルシアになる女の子が選ばれ、頭にキャンドルをたてた冠をかぶります。

 

クリスマスはまだ先ですが、街ではイルミネーションが始まっています。自然光はいいですけれど、照明の光もいいですね。
イルミネーションが心地よい、暖かい雰囲気を作り出しています。街が光でとても美しくなります。