窓の「遮熱」で、残暑を涼しく過ごす。

最終更新日:2021年09月04日

住宅は一度建てたら簡単には壊せないもの。途中でリフォームもできますが、費用と手間がかかります。新築時に、快適性を”建築のチカラ”=8つの性能で叶えることが、いつまでも変わらない安心につながります。

今回はこの8つの性能を「断熱・気密・遮熱・蓄熱・空気質・換気・調湿・安全」に分けて、わかりやすくお話します。

石戸谷 裕二
室内気候研究所 主席研究員
工学博士

石戸谷いしどや 裕二ゆうじ

PROFILE ▼

2007年 北海道職業能力開発大学校教授に就任
2013年 室内気候研究所 主席研究員に就任
札幌ドームなど大空間の環境設計に多数参画

窓の「遮熱」で、残暑を涼しく過ごす。

大きな「窓ガラス」のあるリビングは視覚的にとても開放的で、床面積がやや小さくても、自然を感じながら伸び伸びと、快適に暮らすことができます。

一方で、「窓ガラス」は壁に比べると断熱性能が低く、部屋の暑さの原因となる「日射熱」を透過する性質がありますから、熱的な弱点を理解した上で大きな「窓ガラス」のある、快適な室内空間を設計していく必要があります。

 

(写真)大きな窓のある、開放的な室内空間(設計・施工:北洲ハウジング)

 

「窓」の機能を正しく理解すると、快適な暮らしが見えてくる。

普段はあまり気にせずに生活をしていますが、「窓」には色々な機能が備わっています。

「窓」は視線や眺望を確保しながら周囲の自然や近隣と繋がる経路になりますし、外界の空気や音、日射などを透過したり、適度に遮蔽したりすることで、快適な暮らしをサポートする室内環境のフィルターの役割も果たしているのです。

窓の「通風」で涼をとったり、「遮熱」によって日射熱を遮断する方法をあらかじめ準備しておくと、夏の暮らしはより快適なものになるでしょう。

 

「日射熱」は、空気やガラスのような透明な物質には吸収されにくい。

夏の木陰は日向より涼しく、過ごしやすい。誰もが日常生活で経験する自然現象ですが、この性質が夏の室内環境と密接に関わっていることは、意外と忘れられがちです。

「日射熱」は光の性質を持っていますから、空気のような透明なものはすり抜け、木の葉や壁のような物体があるとそこで吸収されて、裏側には伝わらない、という性質があります。これが木陰の涼しさの原理です。

「窓ガラス」はほぼ透明ですから、窓が直接日射にさらされると熱は部屋の中へと透過して、床や壁などに吸収され、室温上昇の原因となってしまいます。

 

(写真)気温が同じでも、木陰に入ると涼しく感じるのはなぜ?

 

「冷房」が必要になる原因は、窓からの「日射熱」が第一位。

高断熱・高気密住宅の冷房需要を建築の部位別に計算してみると、下図のように窓経由で部屋に侵入する熱量が圧倒的に多く、これが夏の暑さの原因となっているのです。

日射受熱量が他の部位より多い屋根と比較しても、窓を経由して大量の熱が室内へと侵入熱がいかに多いかお気づきになるでしょう。また、窓の内側に遮光カーテンをしても、一旦窓を透過した「日射熱」は部屋の内部で遮光カーテンや床などに吸収されますから、侵入した日射熱をエアコンで外へと排出するしか、暑さを和らげる方法はありません。

できるだけエアコンの使用量を減らしながら快適に暮らすためには、窓から侵入する熱を住宅の外部で「遮熱」すると効果的だと言えるのです。