【湿度と健康 1】冬の「健康リスク」回避は、適切な湿度管理から!

最終更新日:2021年11月27日

住宅は一度建てたら簡単には壊せないもの。途中でリフォームもできますが、費用と手間がかかります。新築時に、快適性を”建築のチカラ”=8つの性能で叶えることが、いつまでも変わらない安心につながります。

今回はこの8つの性能を「断熱・気密・遮熱・蓄熱・空気質・換気・調湿・安全」に分けて、わかりやすくお話します。

石戸谷 裕二
室内気候研究所 主席研究員
工学博士

石戸谷いしどや 裕二ゆうじ

PROFILE ▼

2007年 北海道職業能力開発大学校教授に就任
2013年 室内気候研究所 主席研究員に就任
札幌ドームなど大空間の環境設計に多数参画

夏はジメジメ、冬はカラカラ。

普段は、あまり気にせずに生活している室内の「湿度環境」ですが、極端に湿度が高かったり、低かったりすると、とても「不快」に感じることがあります。

 

「不快」な環境に長く滞在すると、居住者の健康リスクが高まる場合が多く、「不快」ではない状態、言い換えれば「快適」な状態に室内を維持することが大切だ、と言われる根拠にもなっています。

 

それでは、室内の適切な「湿度環境」とは、どのような環境をいうのでしょうか?

湿度管理をする上で注意すべき点を含めながら、考えていくことにしましょう。

 

(写真)適切な環境管理の指標として、植物の状態観察が注目されている。

 

 

「相対湿度」と健康リスクの、興味深い関係とは?

下の図は、室内の相対湿度と人間の健康リスクとの関係を示しています。

 

ウィルスや、バクテリアなどの微生物は湿度が高いときばかりでなく、相対湿度が40%を下回るような乾燥した状況でも、感染リスクが高まることが知られています。

 

また冬場の乾燥した空気は、呼吸感染やアレルギー喘息などの疾病を助長、悪化させることも多く、室内の湿度の管理を適切に行うことの重要性を示す知見だと言えそうです。

 

人間が「快適」に感じる「相対湿度 40から60%の範囲」に湿度を調整した空気に満たされると室内の「健康リスク」が低下する、という関係性に注目すべきでしょう。

 

 

 

就寝中の湿度管理が、呼吸器疾患の原因となることも。

夜中に目が覚めたとき、喉がカラカラに乾いていた。そんな経験はないでしょうか?

 

就寝中は水分補給も十分にできませんし、何より無意識下ですので体位変換やマスクの着用などがしにくい状況でもあります。

 

「過乾燥」状態など、湿度環境の悪化によって大切な「睡眠」を妨げられるようになると、免疫力の低下やストレスの蓄積にもつながりますので、注意が必要ですね。

 

写真)適切な湿度管理が「睡眠の質」にも影響を与える。(設計・施工: 北洲ハウジング)

 

相対湿度の管理で、インフルエンザ・ウィルスは不活化できる。

インフルエンザなどの感染症は、空気が乾燥する冬場に流行する季節病です。

 

空気の相対湿度が40%を切るとインフルエンザ・ウィルスの生存率は急激に上昇し、20%程度の過乾燥状態では、室内に持ち込まれたウィルスは生存し続けることになります。

 

また、乾燥を防止するために加湿器などを使用して湿度を上げすぎると、窓や壁に「結露」が発生して、見えないところにカビが発生することもあります。

 

一年を通して、室内空気の相対湿度を「快適」な範囲に管理することが必要です。

 

 

相対湿度の管理は、環境の「見える化」から始めましょう。

室内の相対湿度と健康リスクの関係を、科学的な知見を参考に考えてきました。

 

一方で、室内の相対湿度が適切な状況にあるかどうかは、湿度を計測してリアルタイムに「見える化」することで、正しく認識することができます。

 

冬場の健康管理は、室内の「温度」と「湿度」が、今どのような状況にあるのかを正確に把握するところから始めたいものです。

(写真)冬場の健康管理は、環境の測定から始めましょう。