設計開発者ブログ

耐震シミュレーションで実現する「見える安心」への新しい取り組み その3

耐震シミュレーションを開始するまでの経緯やこだわりを3回の記事にわたってご紹介しています。
最終回の今回は、以下内容の6~7をご説明いたします。

目次

  1. これまでの耐震性確認の課題と限界
  2. wallstatが実現する「見える安心」の仕組み
  3. 地震波の選定理由と、3回検証する理由とは
  4. 独自基準:倒壊防止の先にある「住み続けられる家」
  5. 耐震性・快適性・デザイン性の両立
  6. 最高精度のシミュレーションを実現するための舞台裏とこだわり
  7. まとめと今後の展開

6.最高精度のシミュレーションを実現するための舞台裏とこだわり

この高度なシミュレーションシステムであるwallstatを全棟で運用し、かつ信頼性の高い結果を導き出すために、数多の検証を重ねてきました。

施工実態に即した「適切なモデル化・パラメータ化」

シミュレーションの精度を高めるためには、北洲ハウジング仕様の耐力壁や施工方法が、ソフトウェア上で正しく機能するように設定(パラメータ化)しなければなりません。
実際の施工と乖離したモデルでは、どれだけシミュレーションを行っても意味のない結果になってしまうからです。

京都大学 生存圏研究所
生存圏開発創成研究系 中川准教授

そこで北洲ハウジングでは、構造事務所に相談して実状に基づいた公正なパラメータを作成し、最終的な内容についてはwallstatの開発者である中川准教授ご本人に確認をいただきました。
「自社に都合の良い優位なシミュレーション」に偏ることを厳に戒め、公正で客観的な結果を出すことを最優先に取り組んできました。

実状に即した荷重を算出する「全棟運用の仕組みづくり」

wallstatのモデルを作成するには、壁・柱・梁・荷重・屋根形状といった膨大なデータを入力する必要があります。
大部分は既存の構造検討ソフトからデータを書き出すことができますが、従来の構造検討ソフトではサッシと壁の荷重を区別せず、一律で「壁の荷重」として大雑把に算定されてしまうという課題がありました。
実際のプランにおけるリアルな揺れを忠実に検証するためには、この荷重の誤差を見過ごすわけにはいきません。

構造計算ソフトから出力される状態
サッシなど開口箇所も壁として荷重が算出されるため実状と異なり、適切なシミュレーションにならない。
実状に合わせた状態
サッシなど開口箇所と壁を区別し、実状に即した荷重を拾い、適切なシミュレーションが可能。

そこで構造検討ソフトが算出する荷重の見込みを一つひとつ洗い出し、実状に即した適切な荷重へ修正・調整できる独自の仕組みを構築しました。
これにより、全棟において精度の高いシミュレーションを正確かつスムーズに行える体制が整いました。

7.まとめと今後の展開

wallstatを活用した「壁量計算+耐震シミュレーション」の取り組みは、数値上の安全証明にとどまらず、お客様自身の目で見て納得できる「見える安心」を実現しました。

この取り組みはお客様に確かな安心感をもたらすだけでなく、設計・構造の現場にも大きな進化をもたらしています。実際の揺れを高い再現性で可視化できるため、「地震に強い形状・弱い形状」を設計者自身が感覚的・理論的に学ぶことができ、社内の設計クオリティの底上げに大いに役立っています。

今後は、「商品検証ツール」としてもwallstatをさらに活用し、デザイン性は損なわず、ご家族の命と財産をより確実に守り続けられる住まいをご提案できるようにより一層、耐震・制震の技術向上に努めて参ります。


wallstat開発者の中川准教授との特別対談

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